安倍政権は日本から“専業主婦”という言葉を一掃する
日本の会社にこうした構造的な問題があることも踏まえて、今後どういう働き方が選択肢になってくるのか、あらためて橘氏に聞いた。
「働いてお金を稼ぐちからを経済学では『人的資本』といいますが、日本や欧米のようなゆたかな社会では人的資本こそが最大の富の源泉です。そのうえ少子高齢化の日本は人手不足で、これから若い労働力の価値はどんどん上がっていく。会社にいづらくなっても働くことまでやめる必要はないわけで、20代や30代でせっかくの人的資本を放棄するのはものすごくもったいない選択です。
もちろん、共働きになれば専業主婦家庭の2倍ゆたかになれるわけではありません。しかしその差が1.5倍、あるいは1.2倍であったとしても、長く働くことで複利で差は開いていきます。60歳あるいは65歳の定年のときには、その「格差」はとてつもなく大きくなっているでしょう。
人口減と超高齢化に悩む安倍政権は『女性が活躍する社会』を打ち出しました。これは要するに『日本から“専業主婦”という言葉を一掃する』ということであり、これから専業主婦モデルに有利な条件はどんどんなくなっていくはずです。こういうことをいうと『安倍政権の主張に乗っているだけじゃないか』との批判も出てきますが、これは話が逆で、「保守」の安倍首相はもともと妻が家庭で子育てに専念するのが当然と思っていたはずです。そんな安倍首相ですら「女性の活躍」を言わざるをえないほど、時代が変わってきているということだと思います」
ネット上のコメントのなかには「専業主婦が幸せになれないなんて、世の中がまちがっている」というものも目立った。