国民を豊かにするために存在するはずの財務省が秘かに「国民貧困化」を進めている──経済評論家の三橋貴明氏は財務省が、自分たちの影響力を拡大するために国民を犠牲にし、亡国に導こうとしていると告発する。
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現在、「国民の貧困化」「発展途上国化」が進行していることに危機感を抱く日本人はどれだけいるだろうか。
私たちの所得はもう20年近く下がり続けている。物価の変動を除いた「実質賃金」を見ると、1997年をピークに下がり始め、2015年の実質賃金指数(年平均)はピーク時の15%減である(2016年の実質賃金はわずかに上昇しているが、これは物価が下がったため)。2015年時点で、日本国民は1997年に比べて15%も貧乏になった。
なぜ所得がそれほどまで下がってしまったのか。答えは、国民の所得を減らす経済政策がデフレ下の日本で過去20年続けられてきたからだ。それこそが国民貧困化の原因。その政策とは「緊縮財政」、すなわち「政府支出の削減」と「増税」である。
たとえば、財務省は2018年度に診療報酬と介護報酬の同時削減を目論んだが、これが実際に行われると医療や介護に携わる人の所得が減る。交通インフラ整備などの公共投資もピーク(1996年)から半減させているから、建設業関係者の所得がその分減ったことになる。さらにこれらは回りまわって他の誰かの所得減につながる。