日本では「円」、アメリカでは「ドル」、韓国では「ウォン」、EU圏では「ユーロ」のように通貨は一つで統一する国が多いが、カンボジアは「米ドル」と「リエル」が共存する状況にある。2017年末から2018年初頭までカンボジアに滞在したネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、この“共存関係”を体験して感じたことをレポートする。
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最初、「こりゃいったいどういうこっちゃ?」とビビりました。しかし、1日すれば、これ、まったく違和感なくなるんですよ。成田空港で1万円をドルに換えたところ、行員は物価が安い発展途上国向けの「1万円パック」というものを用意してくれました。10ドルが最高額紙幣で、5ドルや1ドル紙幣がたくさん入っていて10円玉も3枚入っていました。12月29日、1万円は86ドル(プラス30円)になりました。
事前のネット情報では「リエル」に換える必要はない、というものが圧倒的に多かったです。この段階ではその意味が分からなかったのですが、実際に買い物をしてみるとこれがすんなりと腑に落ちるのです。
写真のレシート画像を見てください。
CAN ANCHOR BEER:0.60
TUBORG Can:0.80
ANGKRO CAN 330M:0.60×3=1.80
いずれもビールで、1本あたり0.6ドルのものを4本と0.8ドルのものを1本買っています。合計は3.2ドルです。これに対し5ドル紙幣を1枚出したのですが、お釣りの部分(CHANGE)を見ると($)の部分は1.00とあり、(R)の部分は3300とあります。
つまり、これの意味は「お釣りは1ドル3300リエル」ということになるのです。アメリカ国内であれば、「お釣りは1ドル80セント」ということになり、1ドル紙幣1枚と3枚のクオーター(25セントコイン)と1枚のニッケル(5セントコイン)が渡されることでしょう。