生涯共働きを超える最強の人生設計はない
──まして年金の受給開始年齢の引き上げ議論が高まっており、当初の老後プランどおりにもらえるかどうかはわからない。年金制度がいつまでも盤石だという保証もどこにもないのだ。
橘:私は、「生涯共働きを超える最強の人生設計はない」といっています。経済環境が激変してどちらかの仕事がなくなっても、世帯の稼ぎ手が2人ならリスクヘッジがきいています。日本国の財政が破綻して年金が受け取れなくなったとしても、人的資本が生み出す富で生活を支えることができます。日本や欧米のようなゆたかな社会では人的資本こそが最大の富の源泉なのですから、人生100年時代の人生設計は、いかに長く人的資本を維持するかにかかっています。
長く働くことを「苦役」にしないためには、「好きを仕事にする」以外にありません。もちろん、好きなことだけして生きていけるなどといううまい話はそうそうありませんから、キャリアを積み上げていくなかで、それぞれが「好き」をマネタイズする方法を見つけるしかありません。
いまのキャリアモデルでは、20歳で社会に出て、10年か15年かけて「好き」を仕事にする方法を見つけていきます。ところが専業主婦は20代や30代前半でキャリアを切ってしまうので、子育てが終わってから働きはじめようとすると、50歳からキャリアをスタートしなければならない。その結果、パートや契約のような非正規の仕事しかなくなるのですが、これがどれほど不利な条件かいちど真剣に考えたほうがいいでしょう。