経済アナリスト・森永卓郎氏は、東京オリンピック・パラリンピックの関連需要とアベノミクスの金融政策で膨れ上がった都心の不動産バブルの崩壊が近づいていると分析している。2018年にも起こりうる都心の不動産バブル崩壊&株価急落シナリオについて、森永氏が解説する。
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すでに都心不動産バブルは弾ける寸前まで膨れ上がっている。たとえば、銀座5丁目中央通りの鳩居堂前の坪当たり路線価は、前のバブルのピークだった1992年には1億2000万円だった。ところが、2017年は1億3300万円に達した。すでにバブル期を上回る地価がついているのだ。
もしそんな高値で土地を仕入れても、賃貸で得られる利回りは限られている。実際、地価が高くなり過ぎたため、今の都心物件の表面利回りは3%程度まで下落している。家主はそこから固定資産税や修繕費などを支払わなければならない。空き室のリスクも考えれば、実質赤字という状況だ。
それでも都心物件が売れたのは、値上がりによってキャピタルゲインが得られたからだ。だが、今や湾岸のマンション価格は頭打ち状態になってきている。キャピタルゲインという旨みがなくなると、投資家が物件を一斉に手放すことから、都心の不動産価格は暴落に向かう。都心不動産のバブル崩壊は、2018年にも起こる可能性が高いと見ている。