「鉄道会社の中に、鉄道を趣味とする社員はいるのか」──熱心な鉄道ファンは鉄道会社に就職しようとしても敬遠されるという都市伝説があるが、実際には……いた。京王電鉄に勤務する細矢和彦さん(53)は1987年に京王電鉄に入り、現在は電車・バス展示施設『京王れーるランド』で働くかたわら、プライベートでは“撮り鉄”として国内外の鉄道を撮影している。その写真のクオリティーはプロ顔負けで、京王れーるランドで販売されるカレンダーもすべて細矢さんの写真で作られているほどだ。
「私の祖父は赤羽駅(東京都北区)の駅長、父親も国鉄職員、私の息子も京王の社員と、親子4代にわたる鉄道一家です。さらに母親の親も国鉄で、おじも国鉄、いとこも国鉄と、完全に鉄道家系なんですね。
そのうえ自宅が京浜東北線の線路沿いにあって、子守唄のように電車の音を聞いて育ち、窓を開けて電車を見るのが日常で、初めて覚えた漢字も『大宮』など、京浜東北線の行き先でした。
幼稚園の頃に父親とお風呂に入った時は、普通の家庭なら『1、2、3、4……10数えたら出ていいぞ』というでしょうが、我が家の場合は『大宮から赤羽まで(駅名を)言えたら出ていいぞ』といった具合でした」(細矢さん。以下同)
“英才教育”の甲斐あって、見事に鉄道好きになった細矢さん。その“鉄道愛”は、結婚の際にも発揮されたという。