「期待感」が「現実感」に変わった瞬間、投資市場は一気に動き出す。昨年までの上昇相場の中で囁かれた「日経平均3万円」という言葉の響きには、いくらかの「希望的観測」が含まれていた。だが、2018年1月4日の大発会の急騰を境に、それは「既定路線」に変わろうとしている。こうした相場状況の中では、現役世代もシニアも、株を持たないことのリスクを意識する必要が出てくるだろう。
「株を持つ人」と「持たぬ人」ではすでに資産運用で大きな差がついている。2014年1月から、年間限度額100万円(現在は年120万円。最高600万円)までの株や投資信託の配当と売買益を5年間非課税にするNISA(少額投資非課税制度)がスタートし、それを機に株運用をはじめる一般投資家が増えた。NISAの口座数は昨年6月時点で約1090万に達している。
100万円の株投資で、“一攫千金”を実現した「にわか投資家」も珍しくない。SBI証券の雨宮京子シニア・マーケットアドバイザーが語る。
「2015年3月にNISAで9890円のオリエンタルランド株100株を購入された方は、その直後に株価が6000円台まで急落して非常に心配されていました。しかし、実は株は購入直後に4分割され、100株が400株になっていたから6000円でも2.4倍です。現在では株価1万円台だから98万9000円が400万円になっています。
やはり2014年5月にNISAでレジャー施設の『ラウンドワン』の株を590円で購入された方は株価が下がって『株主優待券を破って捨てた』と怒っていましたが、我慢して株を保有していたところ、昨年から株価が上昇。今では1900円台と3倍以上になりました。銘柄によって100万円分の投資が3倍、4倍になったケースはざらにあります」