2018年の為替相場は円安ドル高でスタートを切ったものの、その後は急激な円高に見舞われるなど乱高下気味だ。平穏だった2017年相場に慣れてしまっていた投資家にとっては、少々心臓に悪い値動きだったかもしれない。
あらためて前年を振り返ると、2017年は値幅を取らなければ利益が出せないFX(外国為替証拠金取引)トレーダーにとっては取引チャンスに乏しい年だった。何しろ為替が動かない。日経平均株価が史上最長となる16営業日も連騰したときでさえ、米ドル円はほとんど動かなかった。その前年である2016年はブレグジットやトランプ大統領の当選など、相場が派手に動く局面が多かっただけに退屈に感じた投資家は多いだろう。
米ドルは上を目指すパワーに欠けている
確かに市場を動かすサプライズには乏しかったものの、材料がなかったわけではない。FRB(連邦準備制度理事会)の利上げや日米の株高など、米ドル円が上がる要素はむしろ豊富だった。にもかかわらず上昇できなかったということは、米ドルには上を目指すエネルギーが不足していると考えるのが自然だ。
それに加えて羊飼いが気になっているのは、暴落と言えるような局面が1年間まったくなかったことだ。20年近く為替相場と向き合ってきた経験からすると、米ドル円は年に1度ぐらいはなんらかの事件をきっかけに暴落して“ガス抜き”をするものだ。それなのにこの1年、こうした局面がなかったのはやや不気味で、次のショックに向けた暴落のマグマが相当溜まっているようにも感じる。何かのきっかけでこれが放出され、相場が一気にリスク回避の円高へと舵を切る可能性は十分あると考えている。