来年度の税制改正ではサラリーマンへの所得増税が行なわれ、翌2019年10月には消費税10%も導入予定だ。その負担は今後、国民に重くのしかかってくる。「老後破産」どころか「老前破産」の危機が指摘されるこの時代、老後資金は自分で守り抜く必要がある。取られすぎた税金を取り戻す唯一の手段が確定申告だ。実は想像している以上に簡単な作業で大金が戻ってくる可能性がある。
「ハンコを押しただけ」
会社員なら、「年末調整」と聞けば“還付金が出る”“妻に内緒でヘソクリできる”と心が躍る。
しかし、「確定申告」と言われるとなかなか縁遠い。小難しい書類の作成を求められたうえに、冷徹な税務署員に“それは経費として認められない”と突っぱねられるイメージを多くの人が持っているのではないか。
会社を定年退職した年金生活者も同じだろう。現在、公的年金の受給額は原則「年間400万円以下」なら確定申告は不要となっている。そのため、アパート経営などでの“副業収入”や投資の利益があった人を別にすれば、無縁の人が大半だ。
2年前に定年退職したAさん(67)も、それまで「税務署」は“税金を取る役所”と考えていた。ところが、在籍していた会社の経理担当の後輩に勧められて昨年初めて確定申告をしたところ、なんと30万円以上のお金が戻ってきた。
「びっくりしました。難しい計算は何もしてません。後輩から“持っていったほうがいい”といわれた書類をそのまま“ある所”へ持っていったら、1時間もかからずに全部やってくれたんです」
Aさんの確定申告の詳細は後述するが、税務署に抱いていたイメージが一変する経験だったという。