退職金で“30万円”取り戻す
退職金を受け取った年は特に「確定申告」を忘れないようにしたい。退職した年は給与所得が大きく減るが、「退職金一時金」も課税され天引きされる。そのため給与は少ないのに納税額は多くなる。
住宅ローンや多額の医療費を払っている人なら、その税金を多く取り戻せる。冒頭で紹介した「30万円」の還付金を受けたAさんはこのケースだ。
Aさんは4月の65歳の誕生日に退職し、退職金1600万円を一時金でもらった。この年の収入は給料80万円と年金120万円。退職金を合わせた所得税額32万312円が源泉徴収されていた。Aさんの「確定申告」の概要はこうだった。
【1】住宅ローン残高・約1000万円(還付額10万円)
【2】特養に入所している父の施設費など医療費約50万円(還付金4万円)
【3】社会保険料25万7000円(還付金2万7500円)
それらを柱に、地震保険料や生命保険料、配偶者控除などを積み上げると納税額はゼロ。つまり源泉徴収されていた32万312円が全額戻ってきたのである。
Aさんの節税効果はそれだけではない。所得税の「確定申告」を行なえば、その申告をもとに地方住民税が計算され、市町村から納付書が送られてくる(給与所得者は源泉徴収)。所得税額がほぼゼロとなったAさんの場合、その年の地方住民税も大幅に下がった。
実は、「確定申告」による節税効果は戻ってくる金額の2倍近い。Aさんは確定申告しなかった場合と較べると所得税、住民税を合わせると50万円以上の税金を取り戻したことになる。
確定申告をしないことは「見えない税金」を払っているのと同じなのだ。
※週刊ポスト2018年2月2日号