【2】徹底した企業統治による市場の透明性の高まり
米国では2001年に不正会計が発覚したエンロン事件を受けて、米政府が企業統治の厳格化をスピーディに進め、市場の透明性を高めてきた。日本でもコーポレートガバナンス(企業統治)改革とスチュワードシップコード(金融機関による投資先企業の経営監視など機関投資家のあるべき姿を規定したガイダンス)の採用で企業統治が強化され、市場の透明性が高まってきている。
以上、2つの条件が整ってきた結果として、以下の【3】の条件が満たされるようになったのが米国の流れである。
【3】国民大多数の株式投資への参加
家計の金融資産に占める株式の比率は、米国では36%、これに投資信託の11%なども加えるとおよそ半分を株式が占める。一方、日本は株式が10%、投信は5%にすぎず、政府が提唱する「貯蓄から投資へ」の流れは進んでいない。
そこで麻生太郎・財務省と森信親・金融庁長官の下、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)で貯蓄から投資への促進が加速されている。また、投資家の長期の資産形成に役立たない投資信託の批判が強まり、今年1月から始まった「つみたてNISA」では投資家の長期的な資産形成に役立つかどうかの審査をクリアした投信のみが対象となっているほどだ。
振り返ると、かつてドイツも日本と同じように貯蓄偏重だったが、1990年代に改革を進めて米国化しており、その結果、ドイツDAX指数も最高値を更新している。
いま日本では、株主価値の向上が進み、市場の透明性が高まるといった株高政策がようやく花開く時を迎えようとしている。1800兆円とされる個人金融資産のうち数百兆円が株式市場にシフトしていけば、買うから上がる、上がるからまた買うという好循環が生まれるはずである。