どんどんと高齢化が進むなか、高齢者の負担を和らげるのが交通機関や施設でのシルバー料金。これまで長く社会に尽くしてきた人たちが、その報いを受けるのは当然だが、関西地方在住の40代の男性・Tさんは、「シルバー料金など不要だ」と憤る。
Tさんは祖父の代から続く呉服屋の3代目で現在40歳。かつては「お金を刷っているかのように儲かった」という呉服屋だが、近年では人件費の安い中国や東南アジアなどに生産拠点が移ったことで単価が下がり、なかなか商売は苦しいという。
Tさんがシルバー料金に怒りを覚えた直接の動機は年金だ。70歳をとうに越えた父親はすでに仕事をリタイアし、映画に美術館に旅行にと悠々自適の生活を送っているが、ある時ふと、自分が将来もらう年金額と、父親が今もらっている年金額の差を知ってしまった。Tさんがいう。
「ある時、ふと年金の話になって、父に受給額を聞いたら『2か月に1回、45万円ぐらいもらっている』と言うんです。私は父の仕事を継いで、収入も父と似たようなのなので、同じぐらいもらえるものかと思って調べたら、父より3割ぐらい少ないことがわかりました」
将来物価も上がると考えれば、その差はさらに大きくなる。そこに大きな不満を覚えたTさん。両親との親子関係は良好で、しばしば家族で出かけることも多いが、そこかしこでイライラするようになったそうだ。