大企業の場合だったら、上記の経費は会社で支払われるケースも多いですが、中小企業や外資系の場合、転勤に伴う引っ越し代が自腹というケースもよく聞きます。また、MBAや公認会計士などの資格取得が推奨されているのにその費用を出してくれないという会社も多いので、この控除を使えるか会社に聞いてみても良いでしょう。
注意点として、確定申告の際には「業務に関する経費である」という会社の証明書や支出を証明する領収書などが必要になります。また、通勤手当のように、会社から支給があり、支給されている部分が非課税の場合は、特定支出に含めることはできません。会社宛で領収書を切って、立て替え払いをするけれど、後日経費が振り込まれる(その部分に所得税が課されていない場合)ケースもこの控除を利用できません。
特定支出控除を受けるには、会社の証明書を得たり、「給与所得控除の2分の1」を超えるというハードルが高かったりします。しかし、転勤や資格取得など大きな支出がある年は、1年間にわたって細かい支出をかき集めれば「特定支出控除を使う方がトク」になる場合もあるので、日頃から領収書を集める癖をつけたいものです。確定申告は自営業の人だけの話ではないのです。
◆はなわ・ようこ/ファイナンシャル・プランナー、CFP認定者、1級FP技能士。青山学院大学国際政治経済学部卒業後、外資系投資銀行に入社。退職後、FPとして独立。『夫婦で貯める1億円!』『貯金ゼロからでも大丈夫!夫婦で一生に必要なお金がしっかり貯まる本』『貯金ゼロ 借金200万円!ダメダメOLが資産1500万円を作るまで』など著書多数。http://yokohanawa.com/index.html