2月2日、ソフトバンクモバイルのスマホユーザーが吉野家の牛丼1杯を無料で食べられるクーポンを使えるキャンペーンで、大混乱が起こった。片側1車線の道路で大渋滞が起きた他、バスが1時間半遅れたという実害も出たようだ。さらにネットでは行列を批判する意見も頻出している。こうした「行列」の是非についての論争はネットの定番であると述べるのはネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。同氏がこれまでネットを騒がせた「行列事件簿」トップ10を紹介する。
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ソフトバンクにとっては今回が8回目のキャンペーンで、吉野家の無料券は2回目だったそうです。前回との違いは、25歳以下の人は2杯もらえた点にあります。若者にとっては牛丼2杯無料ってのは有難いことでしょうね。ただ、380円の牛丼1杯のために1時間待ちだったりもしたわけで、「たかが牛丼1杯のため寒い中並ぶ神経が分からない」という揶揄がネットには多数書き込まれました。一方で、並んだ人からすれば「他人の行為にいちいち口出しするな」で終わりでしょう。
さて、行列というのはインスタ映えならぬ「ネット映え」する行為であります。とにかく行列の写真とそれに連なる状況描写を見た人々は大盛り上がり。「ぎぇぇっ、なにこの行列!」という感想の後に来るのは「ご苦労なこった」「バカじゃないの」「熱中症になるぞ」などに加え、「さもしい」「貧乏人」「乞食」などとひどいものもあります。ここでは、過去にネットで話題となった「行列」トップ10を振り返ってみましょう──。
【1位】銀座無料ダイヤに5000人殺到事件「誠意がねーよ!」
これがNo.1間違いなし。2009年、東京・銀座の宝石店「モーブッサン」が先着5000人に0.1カラットのダイヤモンド(5000円相当)を無料配布するキャンペーンを行ったところ、5000人が1.5kmの列を作った。店はコンセプトなどを伝えながら渡すため、1時間に30人ほどしかさばけなかったという。このダイヤは店に加工を依頼することもできるので、その加工需要を見込んだキャンペーンだったのだろう。
あまりの混雑ぶりから整理券を配布し、後日受け取りに来ることになった人が大多数に。「聞こえねーよ。誠意がねーよ。誠意がよー。こっちはもらえるっていって並んでたんだからさ」という怒りの声や、「会社休んで来た。駐禁切られた」という嘆きの声もあった。日本法人のフランス人社長は、ニューヨークではこのキャンペーンで混乱がなかったと説明。日本の騒動は想定外だったようで、シンガポールでは同様のキャンペーンはやらないと宣言するオチがついた。