最新(2013年)の総務省の住宅・土地統計調査によると65歳以上の持ち家率は8割に達する。だが最近は定年を前に「家を売ろうか」と相談する人が増えているという。
「ここ数年の相談内容は住宅ローンから住み替え問題にシフトしました。『子供が独立して夫婦二人では家が広すぎる。売却して老後の生活資金にしたい』と訴える方が目立ちます」(高齢者住まいアドバイザーの西峯謙次氏)
マイホーム売却を希望するシニアの「売り時」はいつか。西峯氏は「65歳がベスト」と指摘する。
「シニアにとって年金受給のタイミングとなる65歳は家の売り時。安定的な年金収入を賃貸や生活費に回せるようになる好機です。通勤を気にしなくてもいいから、新しい住まいの選択肢も広がります」(同前)
不動産は都内の一等地などの特殊なエリア以外は、持ち続けると資産価値がどんどん低くなる。「売るなら早め」は鉄則だ。だが50代だと売却後の住まいの賃貸料がかさむ。70代だと売却益の恩恵を享受する時間が少ない。やはり年金受給が始まる65歳が自宅を売却する“適齢期”となる。
自宅売却後に生活の拠点とするのは、夫婦2人で暮らせる程度の賃貸マンションが適している。お値打ちだからと中古物件を購入しても、その後やってくる人生の最終段階において、売りたい時に売却できるとの保証はないからだ。