米国の長期金利上昇をきっかけとした世界同時株安で日本株も激しい乱高下に見舞われている。日経平均株価は2月5日に前日比592円安、翌6日には一時1600円超も急落するなどボラティリティ(変動率)が高まっており、落ち着く気配はなかなか見えてこない。この先、いったいどうなるのか。カブ知恵代表の藤井英敏氏はこう分析する。
「株価が変調をきたすと、下値に対する保険(株価指数先物売り、プット・オプションの買いなど)をかける動きが高まります。すると、ボラティリティの高いものを自動的に売って保有資産のボラを下げる『リスクパリティ』と呼ばれる手法で運用を行なう『リスクパリティ・ファンド』が、ボラティリティが高まった株式を一斉に売り出します。そうなると売るから下がる、下がるから売るという“負の連鎖”が起こり、今回の株安が加速したわけです。
それによって需給は崩れてしまい、先物やオプション取引を行なう投資家のポジションなどは今回の急落でぐちゃぐちゃになっていますから、指数先物やオプションが清算されるメジャーSQ(3月第2金曜日)までは完全に落ち着きを取り戻すのは難しい。そこまでは混乱が続く可能性が高いでしょう」
米トランプ政権の大型減税もあって米国経済は好調に推移しており、日本企業も2018年3月期決算は過去最高益が予想されている。実体経済がこれだけ好調なのに、なぜ株価の調整にそれだけ時間がかかってしまうのか。
「株価は中長期的にはマクロ経済環境や企業業績などのバリュエーションが影響してきますが、短期的には需給の影響が勝ります。実体経済では何も変わっていないどころか、日米両首脳は株価を上げたい一心なのに、需給が崩れれば短期的にはこれだけの株安に見舞われることもあるわけです」(藤井氏)