2017年のIPO(新規上場)市場は高いパフォーマンスを見せたが、投資情報サイト「IPOジャパン」編集長・西堀敬氏は2018年のIPO市場も活況が継続すると予想する。そうした中で、今後はどういったIPO投資戦略が有効なのか。西堀氏に解説してもらった。
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2017年にIPOした全90銘柄で見ると、勝率(上場後についた初値が公開価格を上回れば「勝ち」、下回れば「負け」、同値なら「分け」とする)は90%、平均初値騰落率はプラス112%と、非常に高いパフォーマンスとなった。これは、ほとんどのIPO銘柄において、ブックビルディングに参加して公開価格で株式を取得できていれば、初値がついた時点で投資金額の2倍は儲かったということだ。
この傾向は、2018年も続く見通しだ。したがって、2018年のIPO投資で勝つための投資法としては、まずは、できる限りブックビルディングに参加してIPO株を公開価格で入手し、上場後についた初値ですべて売り抜ける戦略が鉄則といえそうだ。
ただし、IPO株を公開価格で手に入れるには、多数の証券会社に口座を開設する必要があるうえに、抽選に当たるのは運次第である。そうした中で、公開価格で手に入れることができなくても、IPO間もない銘柄を選んで投資(セカンダリー投資)することで、利益を狙う戦略も選択肢となる。
2017年のIPO市場を振り返ると、個人投資家の旺盛な投資意欲が過熱気味となったために、大半の銘柄において初値は公開価格より非常に高い値がついた。それに対して、初値をつけた後も一本調子でさらに上昇するような銘柄は多くなかった。IPO銘柄の公開価格は同業他社など類似銘柄を参考に決定されるが、類似銘柄の株価がすでに高くなっていると公開価格も高くなる。それでも初値は公開価格を大きく上回る高い値がつき、PER(株価収益率)がいきなり割高になってしまうケースもあったのだ。