ソフトバンクグループ(SBG)は傘下の携帯事業会社ソフトバンクを東証1部に上場させる方針を固めた――1月半ばに報じられたこのニュースは、市場関係者や投資家の耳目を独占した。なぜSBGは「親子上場」を目論んでいるのか。投資情報サイト「IPOジャパン」編集長・西堀敬氏が、その狙いを読み解く。
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ソフトバンクのIPO(新規上場)の時期は、10~11月が予想される。このIPOでは、親会社のSBGが保有する株式のうち約3割を売り出し、市場からの資金調達額は2兆円程度といわれている。したがって、1987年のNTT(資金調達額は約2兆2000億円)、1989年のNTTドコモ(約2兆1000億円)に並び、過去最大規模のIPOとなりそうだ。
では、なぜこの時期に、SBGは子会社のソフトバンクを東証1部へ「親子上場」させようとしているのか。SGBの孫正義・会長兼社長の意図はどこにあるのだろうか。
東証1部への親子上場といえば、NTTとNTTドコモがすぐに思い浮かぶ。しかも、NTTドコモ株は大きく値上がりしたので、孫氏が二匹目のドジョウを狙ったのではないかという想像もできなくはない。だが、NTTドコモが新規上場した当時と今は、携帯電話事業を取り巻く経営環境の厳しさがまるで違う。
ドコモとソフトバンクとauに加え、楽天が自前でインフラを整えて本格参入を表明しており、携帯電話事業は今後ますます競争が激化し、経営環境が厳しくなることが予想される。それを考えれば、孫氏がソフトバンクを上場させる別の目論見が見えてきそうだ。