無人化の背景にあるのは、深刻化する人手不足と米アマゾンの台頭だ。今年1月、アメリカ・シアトルでアマゾンがオープンした「アマゾンGO」は、無人レジ構想をほぼ実現している。
アマゾンGOでは、専用アプリを起動させたスマホをかざして入店後、棚から商品を取ると店内にある130台以上のセンサーが検知し、アマゾンの通販サイトに登録したクレジットカードで自動的に支払いが完了する。
店内にレジはなく、欲しいものを手に取って店を出れば、後でスマホにレシートが送られてくる仕組みだ。
「実際の買い物の現場で、最先端の技術を使った無人レジが実現しているのを目の当たりにして、日本の小売り業界は焦りを感じていると思います。ローソンもファミマも、研究開発を急いでいるでしょう」(プリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之さん)
一方、独自路線を貫くのがセブン-イレブンだ。彼らは他社ほどレジの無人化には積極的ではない。なぜなら、「接客」を最も重要な業務と考えているからだ。吉岡さんが語る。
「“コンビニはヒューマンビジネス”です。それを店作りに反映しているのがセブン。自動食器洗い器を導入したり、スライド式の商品陳列棚を設置したりと、業務負担を軽減したお店を作ることで、従業員が接客に割ける時間を増やしています。人の力で集客力を強めているんです」
超高齢化が進むなか、アマゾンGOのような完全無人化やキャッシュレス化が進めば人手不足の解消にもなり、私たちの生活は今よりもっと便利になるだろう。過疎の地域に物資をのせたドローンが飛んでくれば、多くのお年寄りが救われるはずだ。
しかし一方で、セブンが守ろうとしている「人とのつながり」も、小売業が忘れてはならない大切なものだ。今まさに変化を求められるコンビニは、岐路に立っている。
※女性セブン2018年3月1日号