定年を迎え、子供が独立するなどして住み替えを検討する人は少なくないだろう。住み替えには、生活費を圧縮できる「地方移住」という選択肢もある。
68歳の石田和馬氏(仮名)は定年退職後、都内の分譲マンション(3800万円)を売却して出身地である山口県内の新築マンション(2500万円)に夫婦で移った。石田氏はこう語る。
「広さは元の部屋と同じ75平米の3LDKですが、不動産の仲介手数料や引っ越し費用などを差し引いても1000万円以上の現金が手元に残りました。駅まで10分、スーパーまで1分、病院もタクシーで1000円以内の物件を厳選したので、車を持つ必要もない。地域に慣れることを考えると60代の移住はいいタイミングだったと思います」
ファイナンシャル・プランナーの小谷晴美氏はいう。
「総務省の家計調査によれば、都会(政令指定都市と東京都)と田舎(人口5万人以下の市)で世帯あたりの生活費を比較すると、田舎暮らしの方が月額4万円も少なく済みます」
石田氏のようなケースでは年間50万円も得するのだ。ところが、タイミングを誤るとデメリットのほうが多くなる。小谷氏が続ける。