住み慣れた我が家で長く過ごすためには「リフォーム」が必要になる。一般にリフォームには、介護生活を前提とした「バリアフリー」と、子供への譲渡や将来の売却などを前提とした「資産価値増加型」があるが、「終の棲家」にとって重要なのは前者だ。
バリアフリー工事を行なう場合、まずは「どう変えるか」が重要になる。住宅ジャーナリストの山下和之氏が言う。
「2階建てを1階建てに大規模にリフォームする“減築”は、階段の上り降りもなくなり、怪我をするリスクも減るため、興味を持つシニアも多い。しかし、1000万円以上と費用が高額となる。子供と同居しておらず夫婦だけの世帯は、小規模リフォームから始めるケースが多いようです。
とくに一戸建てでは、“段差を解消する”ことが基本です。玄関は車椅子になったらスロープがないと出入りできません。妻に補助してもらう場合も介助者の負担が大きくなる。玄関の段差は最初に改善すべきです」
続いては居住スペースだ。
「車椅子を想定して廊下や階段の幅を広げ、自宅内での転倒を防ぐための手すりの設置も必要です。そうした生活の安全ルートを確保したら、浴室やトイレなどの水回りの拡張工事に進みます。万一に対処できるよう引き戸にして、なるべく広いスペースを取ることも求められます」(山下氏)