「年金振込通知書」の「所得税額」をチェック
年金収入264万円のAさん(68)の通知書に書かれていた所得税額は月額2500円。年間3万円を源泉徴収されていた。
「ヘソクリができるんじゃないか」と軽い気持ちで確定申告をしたところ、なんと3万円全額が還付されたという。それだけではなかった。
「住民税の決定通知を見ると、年金から天引きされる翌年の住民税が前年の4万2000円から8500円に下がったんです。それまで所得税の還付金の金額しか計算していませんでしたから、こっちの税金も一緒に減るのかと気づきました。これは大きいですね」(Aさん)
今回の確定申告による節税額は、申告から約1か月後に振り込まれる所得税還付金(3万円)と、これから徴収される住民税の減税分(3万3500円)の合計になる。総額なんと6万3500円。確定申告をしなければ、余分に払わせられていたはずの金額だ。
「住民税は後払いだから所得税のように確定申告で還付はされませんが、その年の税額が減る。住民税の減税効果を考えると、Aさんのケースでは申告のメリットは戻ってくる所得税還付金の約2倍だと考えていい」(前出・山本氏)
恩恵はまだある。自治体や社会福祉法人が経営する福祉施設「軽費老人ホーム(ケアハウス)」に入居した場合の利用料金は収入(課税所得)によって段階的に決まっている。そのため、確定申告で課税される所得が下がれば、利用料が大きく違ってくる。
東京都の基準では、収入300万円の人の利用料は月額8万5000円(他に生活費などが必要)になるが、確定申告で課税所得を250万円まで圧縮できれば、基本の利用料は月額5万円へと3万5000円も安くなるのだ。
※週刊ポスト2018年3月9日号