安倍政権による増税路線の中で、特に重税感を強めているのは高齢者である。この数年だけでなく、長い目で考えても「見えない年金増税」が続いているからだ。
図解の通り、現在80歳の人が年金生活に入った20年前、夫の年金270万円の世帯(妻は国民年金を受給)は「住民税非課税」で手取りは約265万円もあった。ところが、現在は同じ年金額でも手取りは約233万円と32万円も減っている。
この間、所得税は増税どころか、表向き最低税率は約10%から約5%に引き下げられた。それなのに年金生活者の手取りが減ったのは、高齢者狙い撃ちで税金の負担軽減措置が削られてきたからに他ならない。
「老年者控除」「配偶者特別控除」「年金控除」が廃止や縮小され、「課税最低ライン」が年収304万円から196万円へと大きく引き下げられた。つまり、この20年で税金を払わなくてよかった年金世帯からどんどん税金を取り立てるようになったのである。
高齢者を“狙い撃ち”
こうした制度変更で「住民税非課税」から「課税」になった人が1400万人近く増えた。「非課税」と「課税」でどれだけ違うか。国税出身の税理士・内田誠氏が語る。