高性能半導体の需要が拡大の一途をたどるなか、日本の半導体製造装置メーカーの業績にも追い風が吹いている。そうしたなかでグローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が注目しているのは、半導体の“スーパーサイクル”に乗って業績絶好調の「東京エレクトロン」(東証1部・8035)だ。
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世界有数の半導体製造装置メーカーである東京エレクトロンは、特に半導体製造における「前工程」市場においては世界トップクラス。半導体の製造には、そのもととなるウェハ状態で回路形成・検査する「前工程」と、チップごとに切断・組立・検査をする「後工程」があり、同社は前工程製造装置で世界シェア4位となっています。
まず株価から見ていくと、2月の株安で下がったとはいえ、過去最高値圏にあります。高値警戒感はもっともでしょうが、それだけにとらわれると、さらに上がり続けた場合の投資チャンスを逃してしまうかもしれません。企業業績が伸びる限り、株価も上がり続けることは米国株によく見られる傾向です。
たとえば2016年8月、米ナスダック総合指数がITバブル時につけた5132ポイントの過去最高値を更新した時、「高すぎる、バブルだ」と指摘する声が強まりました。しかし、いまやナスダックは7000ポイント台に乗り、まだ伸び続けています。
そうしたナスダックのなかでも好調なのが半導体関連です。「3D-NAND」という3次元積層技術によって、平面だったマイクロチップの基盤が高層ビルのように積み上がり、新次元の性能を発揮することで、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)といった次世代技術が具現化しようとしています。そこに向けて高性能半導体の需要は増大の一途を辿り、半導体業界は過去のどのサイクルよりも大きく、息の長い、空前の“スーパーサイクル”を迎えているのです。