「過去の国民栄誉賞のうち、スポーツ選手の受賞は12回。そのうち10回は景気拡張局面でした」
景気拡張局面に当たらなかった2回は1977年の王貞治(プロ野球)氏と2012年の吉田沙保里選手(レスリング)である。王氏の時は受賞の翌月が景気の谷となって拡張に転じており、吉田選手が受賞したタイミングはまさに景気の谷で、この時を境に景気は上向いたのだ。
要するに、スポーツ選手が国民栄誉賞を受賞する時は景気の拡張が続くか、低迷していた景気が拡張に転じるかのいずれかになっているのである。これに対し、文化人などスポーツ選手以外の受賞時は、景気の拡張局面と後退局面はほぼ半々となっている。
「スポーツ選手の場合、五輪での金メダルなど国民を感動させたりマインドを向上させる成果を出した直後の受賞が多く、景気にプラスの影響を及ぼしやすいと考えられます」(宅森氏)
政権の人気取りなどと揶揄されることも多い国民栄誉賞だが、いざ受賞が決まると景気にとってはプラスになるケースが多いようだ。