とはいえ再雇用になると妻が働いても給料は減る。それだけで2人が食べていくのは難しい。
そこで、夫の年金のうち、厚生年金の報酬比例部分(10万円前後)だけ受給する。基礎年金は70歳まで繰り下げて割り増しの恩恵を受けるのが無理のない年金アップ術になる。
ともに今年60歳の定年を迎える「同級生夫婦」のBさんの場合、65歳以前に「得する年金」(特別支給の部分年金)をもらえる世代だが、実は、特別支給は同じ年に生まれても男女で支給開始年齢が違う。
Bさんの支給開始は63歳、妻は61歳からもらえる。それに伴って、2人の働き方を変えることができる。
「来年から特別支給が始まる妻がバンバン働くと、せっかくの年金が大幅に減額されてしまう。だから妻は週2~3日のパートタイム就労で月収を年金カットされない18万円くらいに抑え、65歳まで働く。一方、Bさんは特別支給が始まるまでの3年間はフルタイムで稼ぎ、その後は年金減額されないようにのんびり働くのが理想です」(ベテラン社労士)
高齢者の年金には、数多くの不可解な減額の仕組みや重税の罠が仕込まれている。怒っても、嘆いても奪われた年金は戻ってこない。
どうすれば奪われずに得するか。それは「働かせる側」の要求ではなく、「働く側」の判断に懸かっている
※週刊ポスト2018年3月16日号