少子高齢化が進む日本において深刻な問題になっているのが、地方の過疎化。安倍晋三首相は「地方創生」というスローガンを掲げ、東京の一極集中を是正したい意向だが、現実はなかなか厳しいようだ。中部地方の観光地で生まれ育った30代の男性・Aさんは、「マジメな若者ほど地元に残らない」という。そのメカニズムはどうなっているのか。
Aさんが生まれたのは、東京近郊のリゾート地。都会からの移住者も多い村は観光で潤っており、平均所得が高い自治体としても知られている。両親がその村に移住してきて、Aさんはそこで生まれ育ったわけだが、年齢が上がるにつれて、村の歪みが見えてきたという。Aさんがいう。
「村には小学校と中学校しかなく、高校があるのは隣町。大学は村から通える場所にはないので、大学まで進むためには一度は村を離れることになります。大学進学を選ぶのは、だいたい小・中学校で勉強ができた人です。
大学卒業後、村に帰ってくる人もいますが、村の“ヒエラルキー”では、一度でも村を離れた人よりも、ずっと村にいる人の方がなんとなく上。集まりなどで意見をすると、『お前は4年間村から離れてただろ』などと平気で言う人がいます」
勉強をして大学に進めばエライというわけではないが、勉強するためにやむなく村を離れた人が、村を“捨てた”ように言われるのではやりきれない。しかも村には別の問題もあるという。