「親の財布」を子供はいつから管理した方がいいのか──。Aさんの母(83歳)は1人暮らし。足腰はまだ丈夫だが、耳が遠くなった。
ある日、実家に戻ると、「あんたもこれを飲みなさい」とサプリを勧めてきた。がん予防に効果があるという。“もしかしたら”と部屋を調べると大量の健康食品の箱を見つけた。「いくらしたの?」と尋ねても聞こえない振りをする。
タンスを開けてこっそり通帳を確認すると、20万円が2回、30万円が1回引き出されている。騙されて買わされたのだ。
これ以上被害額が増えたらたまらない。「もう、俺が預かるよ」と通帳を取り上げようとしたが、「わたしゃまだボケとらん」と頑なに拒否されてしまった。相続問題に詳しい弁護士・北村真一氏が語る。
「高齢者が資金を失うケースとしては、やはり投資の失敗が多い。最近では銀行がハイリスク商品も扱っていて、高齢者は“銀行が勧めるから大丈夫だろう”と商品内容をよく理解しないまま購入してしまう。高齢者の弱みにつけ込む悪質業者も後を絶ちません」