中国全人代は19日、日本の内閣に相当する国務院の人事を発表した。李克強首相が再任され、筆頭副首相には、長らく上海市政府のトップを務め、共産党序列第7位の韓正氏が選ばれた。そのほか、中国統一戦線部の部長であった孫春蘭氏、共青団出身で広東省トップであった胡春華氏、習近平国家主席の側近で中央財経領導小組弁公室主任の劉鶴氏が選ばれた。ここ数年の経済政策は共産党組織である中央財経領導小組が主導してきたところが多い。経済政策においても習近平国家主席への権力集中が進みそうだ。
金融関連では、人民銀行総裁が約15年ぶりに交代した。周小川氏に代わり、この10年間副総裁を務めてきた易綱氏が昇格することになった。易綱新総裁は北京大学経済系学部在籍後アメリカに留学し、1986年にはイリノイ大学で経済学博士号を取得、その後1994年までインディアナ大学で准教授の職に就いていた。帰国すると北京大学中国経済研究センターを立ち上げたが、1997年には中国人民銀行に転じている。国際派、学者肌の総裁である。ちなみに、直近では、劉鶴氏の下で中央財経領導小組の副主任を兼任していた。習近平政権の主流派に繋がる人脈である。
今後の金融行政であるが、金融リスクの解消が大方針となる中で、金融の国際化、自由化が進むことになりそうだ。
中国証券監督管理委員会の閻慶民副主席は3月15日、他国上場企業の自国内上場手段(または、その逆)としてよく使われる預託証券の発行について言及、「ニューエコノミーもしくはユニコーン企業(本土市場で非上場の企業価値の高い企業)を対象として、中国預託証券(CDR)の発行が間もなく解禁されるだろう。ユニコーン企業の定義については、関連部局とよく話し合って決める。科学技術部、工信部は技術的なデータを持っており、その標準に達すること、工業インターネット、AIなどに関連することなどが条件となる」などと発言している。