また、上海証券取引所は15日、いかにして市場に資金を導入し、“金融などの虚構経済から実体経済に向かうか”といった問題に答える形で、「2018年の上海証券取引所はハイテク、新産業、新業態、新モデル企業に注目し、質の良い上場企業資源、BATJ(百度=バイドゥ、アリババ集団、騰訊控股=テンセント、京東集団=JDドットコム)など、突出したユニコーン企業に対する上場サービスを加速強化する」としている。
CDRは両地域で法律・管轄が違うといった問題、地域を超えて監督管理を行わなければならないといった問題を解消することができる。既に海外に上場している企業にとって最も望ましい上場形態である。
3月15日のウォールストリートジャーナルは、「アリババ、中国本土市場への上場を計画」と伝えている。アリババの広報担当者によれば、「2014年にニューヨーク証券取引所に上場して以来、当局の規制が緩和され許可が得られれば本土市場に上場することを検討してきた」と述べている。アリババの事業は本土が主体であるが、ケイマン諸島に本社を置いている。中国当局がこうした外資企業の上場を許すとしたら、画期的なことである。
今回の全人代では、今年の政策方針の一つとして、「イノベーション型国家の建設を加速する」というテーマを挙げている。
金融当局は明確にBATJに対して、国内市場への回帰を促しているわけだが、彼らが国内市場に上場すれば、彼らに対してより多くの事業資金を提供することができる。彼らの成長加速を原動力にイノベーション型国家の建設を加速させることができる。
それは現在、海外市場に上場しているBATJの株価にもポジティブな影響があるはずだ。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。