中国国務院は4月1日、アメリカによる鉄鋼、アルミの輸入制限への対抗措置を実施すると発表。2日より、アメリカ原産のフルーツ、ナッツ類・乾燥フルーツ、ワイン、変性アルコール、西洋ニンジン、シームレスパイプなど120品目に対して15%の追加関税、豚肉・加工品、アルミ廃棄物など8品目には25%の追加関税がかけられることになった。
米中の貿易紛争が激化しかねない状況だが、2日の上海総合指数は0.18%下落にとどまるなど、本土株式市場は先行きをそれほど悲観していないようだ。
その最大の理由として、中国はアメリカに対して強力な対抗措置をいくつか持っているという点が挙げられる。中でも、大豆を対象とした追加関税措置はトランプ政権に大きな打撃を与えることができるとして最近、中国のマスコミはこの点を大きく報じている。
例えば、3月31日の国営放送では、複数のチャンネル、ネットなどを通じて大量の情報を提供している。その内容をまとめるとおおよそ以下の通りである。
アメリカの大豆輸出依存度は高く、生産量の40%以上を輸出しており、その内の60%以上が中国市場向けである。
世界の大豆生産量は最近、増加し続けており、2017年には3億5000万トンに達している。生産量の増加を受けて、大豆の市場価格は2012年の最高値と比べ40%下落している。ブラジル、アルゼンチンなどの生産量増加によって、アメリカ大豆市場の一部が侵食されており現在、アメリカの大豆生産者の収益は基本的にわずかの黒字、あるいは収益トントンといった状態である。もし、中国が、アメリカからの大豆輸入に制限をかければ、アメリカ国内に大量の大豆が逆流し、国内市場は供給過剰に陥り、価格は下落、アメリカの大豆農家は大きな損害を被るだろう。
アメリカの大豆生産の95%以上が中西部の農業生産地域にある。このうち8つの農業州がトランプを大統領選で勝利に導いた重要な票田となったところだ。もし、大豆輸出が制限されれば、これらの地域の経済は直接影響を受け、政治的に大きなダメージを受ける。