今年2月に発覚したいわゆる“消された年金問題”の発端は、毎年8月末~9月上旬にかけて日本年金機構から年金受給者に送られてくる「扶養親族等申告書」だった。この申告書に配偶者など扶養親族の所得情報を書き込んで返送すると、年金から源泉徴収される所得税の控除が受けられる。
この書式が大幅に変更されたため、3月初旬時点では、“申告書の書き方を間違える受給者がたくさんいたので、2月分の年金で130万人に過少支給が発生した”という話になっていた。
ところが3月20日になって、日本年金機構は、申告書のデータ入力を委託した情報処理会社が入力ミスを重ねたため、申告書を適切に提出したにもかかわらず、その内容が正しく2月の支給額に反映されなかった人がいると明らかにしたのだ。
記入に誤りが続出した「扶養親族等申告書」の“正しい書き方”のポイントについて解説しよう。
機構への取材によれば、特に誤りが多かったのが「配偶者の区分」だ。配偶者の所得(その年の見積額)について、該当する番号に〇をつける欄である。「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏が説明する。
「ここでいう『所得』は、いわゆる『収入』の額ではありません。『収入から給与所得控除や公的年金等控除などを引いた額が所得』であることに注意が必要です。