今年2月に発覚した“消された年金問題”。この発端は、毎年8月末~9月上旬にかけて日本年金機構から年金受給者に送られてくる「扶養親族等申告書」だった。この申告書に配偶者など扶養親族の所得情報を書き込んで返送すると、年金から源泉徴収される所得税の控除が受けられる。
この書式が大幅に変更されたため、3月初旬時点では、“申告書の書き方を間違える受給者がたくさんいたので、2月分の年金で130万人に過少支給が発生した”という話になっていた。
ところが3月20日になって、日本年金機構は、申告書のデータ入力を委託した情報処理会社が入力ミスを重ねたため、申告書を適切に提出したにもかかわらず、その内容が正しく2月の支給額に反映されなかった人がいると明らかにしたのだ。
現役世代も年金が削られていくリスクを抱えている。11年前に国民との約束を破って「消えた年金問題」を投げ出した安倍晋三・首相だが、総理に返り咲いて以降、「年金カット」には非常に熱心に取り組んでいる。
2016年12月には年金カット法を成立させ、物価が上がっても現役世代の賃金が下がっていれば年金をカットするなどの給付抑制策を強化している。現役世代からすれば、何もしないでも受給水準はどんどん引き下げられていくのだ。
しかも、年金記録を管理する日本年金機構の旧・社保庁時代とまるで変わらない杜撰な体質が白日の下に晒された。