「うちは私が家で仕事してるし、旦那のほうが子供欲しがってたくらいだから、土日は旦那が子育てしてくれるんですよねー。晴香さんところみたいに忙しいんじゃ、旦那さんは子育て手伝ってくれないでしょ? 大変ですねー」
対する晴香さん。
「はい、そんな暇ないから。うちの人。子育てできるような暇があったらいいけど、働き盛りの男性に子育てって無理じゃないですか? いいなあ、そんな暇がある旦那さんで」
お互いに一応ニコニコしているのがこわい……。晴香さんの夫自慢は止まりません。
「うちの旦那くんって、慶應をトップクラスで出てるんですよ。慶應ってほかの大学と比べ物にならないくらい、いい大学じゃないですか? だから、格が違うと思うんです」
たしかに慶應はいい大学ですが、外資系金融には慶應も早稲田も東大もたくさんいますし、ハーバードのMBAだっています。「格が違う」という言葉の意味がわからず私が固まっていると、幸子さんが聞きました。
「晴香さんは大学どこなの? 慶應? 旦那さんと慶應で知り合ったの?」
それに対し晴香さんは、笑顔を崩さずサラッとこう言いました。
「私は高卒なんですけどー。旦那くんは本当凄いから。娘は旦那の血をひいてるし」
それまでじっと聞いていた真麻さんが、思わず吹き出しました。幸子さんの攻撃ターンです。
「『格が違う』っていうから、てっきり晴香さんも慶應なのかと思ったんだけど、違うんだね。夫婦で格が違うとうまくいくってこと?」