キャリア

若手芸人 事務所を通さない「闇営業」の悲喜こもごも

「あと数分でお笑いライブが始まる時間なのに、店内にいるお客さんは、僕のライブでもよく来てくれる女の子4人だけ。結局最後までお客さんが入ってくることはなく、当然ライブも盛り上がらず終了しました。おひねりも、その女の子たちが気を遣って投げてくれた500円×4人の2000円だけ。5組の芸人で分けたら1組400円です。てっきりお店には常連さんなんかがいて、酔っ払っておひねりを大盤振る舞いしてくれたりするものだと勝手に想像していた自分が、恥ずかしくなりました……」

 そしてAさんをさらに驚かせたのが、営業を主催者である店長の態度だった。

「帰り際、店長に『お前ら全然ダメだな、もっと頑張らないと売れないぞ!』と上から目線で言い放たれました。まるで“勉強する場を設けてあげたのだから感謝しろ”と言わんばかりの態度に、呆然とするしかありませんでした」

 結局、この営業は赤字になってまで遠いところへ行き、わざわざ足を運んでくれたいつものお客さんの前でネタをやっただけだったのだ。オイシイとされる“闇営業”だが、事前の交渉が重要だと学んだAさんだった。

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