お金持ちになりたいと思う人は多いが、実際にお金持ちになれるのは一握り。これが現実だ。ただ、裏を返せば、一握りとはいえ、普通の人がお金持ちになれることもまた事実。そんなお金の成功法則が書かれた世界的名著が『バビロンの大富豪』(ジョージ・S・クレイソン著)で、多くの邦訳が出版されている。
古代都市バビロンで大富豪となったアルカドを中心に蓄財や財産運用の教訓がちりばめられた同書は、約100年前に出版されて以来、全世界で1000万部を超す大ベストセラーとなり、今もなお注目を集め続けている。その魅力について、同書の解説本『大富豪が教える成功法則』の監修者でもある、ファイナンシャル・プランナーの藤川太氏(家計の見直し相談センター・代表)が解説する。
* * *
まず『バビロンの大富豪』が読み続けられているのは、時代が変わっても不変である「富を築く基本」がとてもわかりやすく書かれているからでしょう。
資産運用というと、かつてのマネー誌などでは“魚の釣り方”を教えるようなものが多かったと思います。これから資産形成するためにどう工夫していけばいいのか、そのための仕組みをどうつくるかといった「知恵」に主眼が置かれていました。
それが今では「どの株を買ったらいいか」「成績のいい投資信託はどれか」といった“釣り方”よりも、手っ取り早く“魚”そのものを手に入れたいという要求が高まり、それらの答えを見せようとする記事をよく目にします。
ところが、株式や不動産といった投資対象のトレンドはその時々で移り変わっていきます。しかも、そのサイクルがどんどん早まっていて、使い果たしたら終わり。時代が変われば、その方法はもう通用しなくなってしまうのです。そんな激しい変化のなかでは、「土台」となる基本法則をしっかり身に着けておかないと、あっという間に取り残されてしまうでしょう。
そんな今だからこそ、時間が経っても変わらないものとして『バビロンの大富豪』に綴られている、昔も今も通用する「黄金則」が注目されているのではないでしょうか。