同書で描かれている富を築くための行動や考え方は、とてもシンプルなものです。たとえば、大富豪のアルカドが息子ノマシアに授けた知恵として以下のような「富を生む黄金5原則」があります。
【1】黄金は「堅実な者」を好む
資産を築くため収入の少なくとも1割を貯めようとする者のもとに、選んで集まり増えていく。
【2】黄金は「賢明な者」を好む
黄金にもっと儲かる仕事をあてがってやると獣の群れのように繁殖していく。
【3】黄金は「慎重な者」を好む
その扱いに長けた人間の助言に従う、注意深い持ち主からは離れようとしない。
【4】黄金は「軽率な者」を嫌う
持ち主がよく知らない、蓄財に長けた者がよしとしない事業や商売からは逃げてしまう。
【5】黄金は「強欲な者」を嫌う
無理を強いる、ありえないような儲け話に乗る者からは逃げてしまう。
「堅実」「賢明」「慎重」な人がお金持ちに近づき、「軽率」「強欲」な人は遠のく――いずれも特別なことは説いていません。むしろ誰にでもできそうなシンプルな心構えです。しかし、そんな当たり前に思えることを実行し続けてきたからこそ、もともとは役所で働く貧しい一市民にすぎなかったアルカドもバビロン一の大富豪となれたのです。
どんな時代でも通用する「普遍的な知恵」が書かれた同書が、世界的に支持され続けている理由はそこにあるのではないでしょうか。