「ほら、うちも医者なんで。どちらですか? 勤務地は? 開業医ですか?」
いつもの3倍速です。ルリさんが「開業医ではないですけど……」と答えます。
「あら~勤務医? 勤務医って大変でしょう? 病院名はどちら?」
「いやぁ、ご存じないと思いますよ。千葉の柏のほうにある病院なんですけど……」
照れ気味にルリさんのご主人が説明を始めたのですが、智花さんは、「千葉」と聞いて明らかに声のトーンもテンションも下がったのがわかりました。
「あ、千葉。へぇ~~~」
世間的には「医者の妻」というだけでセレブ感があるかもしれませんが、そこは麻布界隈に住んでいる人たちだけあって、お医者さまというだけでは自慢になりません。「病院名」でマウンティングするのが、「医者の麻布妻あるある」なのです。