もはや「老老介護」は珍しくない。厚労省の調査によれば、65歳以上で親や配偶者の介護をしている割合は54.7%に上る。しかし、中でもより深刻なのが「両親の介護が同時に必要になった時」だ。
65歳のAさんは、同じ市内に暮らしていた90代の父と80代の母が認知症をともに発症していることに気がついた。
「久しぶりに実家を訪れると、きれい好きだった母なのに部屋の中はゴミや脱ぎ散らかした衣服で溢れかえっていた。父は父で、真夏なのに厚手のセーターを着て、食べこぼしで胸元がグチョグチョになっているのを意に介さないような状態。
嫌がるのを引っ張って病院に連れて行くと、2人ともアルツハイマー型認知症と診断された。しばらくは実家に泊まりこみで両親の介護を続けたが、こちらも若くない。もはや在宅介護も難しい状態で、疲れ果ててしまって……」
そうしたストレスもさることながら、金銭的な負担ものしかかった。
「両親の貯蓄と年金はわずかで、有料老人ホームに入居させる選択肢はない。在宅介護でも、オムツ代やヘルパー代などですぐに赤字になってしまう。どうすればいいのか……」(同前)