にもかかわらず、団塊世代の受給額は前の世代と比較して減る一方だ。1941年生まれの“焼け跡世代”の男性のケースでは、保険料の払込総額2249万円に対し、88歳まで生存した場合の年金支給総額は約5170万円。払込額と受給額の差額は2921万円になる。
一方、団塊世代の1947年生まれの男性のケースでは、保険料払込総額約2844万円に対し、年金受給総額が約4799万円で、差額は約1955万円になる。
ともに戦後の貧困期から立ち上がり、懸命に働いて高度経済成長を支えた世代であるのに、団塊世代は焼け跡世代より595万円も多く保険料を納めたうえ、受け取る額は371万円も少ない。
わずか一世代違うだけで、団塊世代は「損」をするようになってしまったのだ。手を変え品を変え、なんとかして理由をつけて、団塊世代から支給を減らそうとする意思が伝わってくる。
政府は“逃げ切り世代”の団塊世代の人口の多さを利用し、ターゲットにした。年金において、団塊世代がいつの間にか「負け組」になってしまっていたのだ。もちろん、表を見れば分かる通り、それより若い世代はさらに払込保険料と年金受給額の差額が少なくなっているのだが……。
※週刊ポスト2018年5月25日号