現在の人口のボリュームゾーンである団塊世代(1947~1950年生まれ)以上と後に続く世代が決定的に違うのは、「教育を受ける機会」である。教育評論家の森口朗氏が語る。
「団塊世代は人数が圧倒的に多いため教室がすし詰めになる一方、教員の数が不足したので教育が手薄にならざるを得なかった。競争は激しかったが、まだ日本が貧しい時代で親が子供の教育に投資する経済的な余裕を持たず、高等教育の受け入れ態勢もできていなかった。労働力として家計を助けるため、進学をあきらめる子供も多かった」
事実、団塊世代が高校受験をした1962年の高校進学率は64%、大学受験した1965年の大学進学率は17%だった。
これが10歳下の“新人類世代”になると、1972年の高校進学率は87.2%、大学進学率は38.4%まで上昇する。1949年生まれの元会社員の菊谷裕太さん(68・仮名)が熾烈な競争を振り返る。
「私は団塊の世代のど真ん中ですが、受験を始め、すべてが競争でした。とにかく同級生が多くて、小学校の休み時間で遊び道具を使うのも早い者勝ち。通った県立高校は1学年16クラスあり、同窓会をしても知らない顔ばかり(笑い)。幸い家計に余裕があったため大学は東京六大学を受験しましたが、競争率はどこも26~30倍ありました」
世の中が豊かになるにつれて大学進学率は上昇し、1993年に男女合わせた大学進学率が初の4割超えとなる40.9%を記録した。