だが、これから年金生活に入る65歳やすでに年金を受給している世代に、支給額を引き下げるといわれては対応のしようがない。体が動かなくなり、現役時代のようにバリバリ働いて稼ぐのは難しいからだ。
その掟破りな年金生活者への支給減額に手を付けている。昨年に実施された物価が上がっても年金を上げない「マクロ経済スライド」がそれだ。そして生活苦不安に直面している高齢者にこう言ってのけた。
「人生100年時代がきた。65歳はまだまだ現役、残りの35年はまだ老後ではない。バリバリ働けます」
政府・与党が声高に叫びだした「人生100年」キャンペーンの裏側には、無理にでも高齢者の寿命が100歳まで延びることにしてまだまだ働けると思わせ、広がる「老後格差」を年金をあてにしないで自力で切り抜けてもらうしかないという政府側の思惑がある。
人生100年時代とは、日本の全世代が段階的に損をする「階級社会」が生まれる時だ。
※週刊ポスト2018年5月25日号