参考までにYさんは、日本でも有数の進学校に通い、超難関国立大学に現役で合格している。仕事もバリバリできるキャリアウーマンだ。しかし、“方向”のことになると、小学生でも分かるようなことが分からなくなってしまうようだ。
「『信号のところでバスを降りて右』と言われ、自分では言われた通りにしたつもりだったのですが、道を間違えてしまいました。どうやら私は『バスの進行方向に右』ではなく、『降りた体の向きで右(=バスの進行方向)』に進んだようです。
駐車場は鬼門。ショッピングモールで警備員さんを呼び出す騒ぎを起こしたこともあります。その時は『駐車券に車の場所を印字してほしい』と逆ギレして、呆れられました……。高速道路のPAでは、必ず同乗者に携帯電話を持って降りてもらいます。トイレなどの用を済ませたあと、基本的には待ち合わせるのですが、行き違いになってしまったときのためです。敷地内で電話をかけ、車まで誘導してもらいます」
「これまでムダにした時間とお金は計算できません」と嘆くYさん。『私は貝になりたい』というタイトルのドラマ・映画もあるが、Yさんは素晴らしい帰巣本能を持つ鮭を例に、「私は鮭になりたい」と本気で思っているそうだ。