投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が5月28日~6月1日のドル・円相場の見通しを解説する。
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ドル・円は下げ渋りか。米朝首脳会談の中止や米国の自動車輸入制限などトランプ大統領の政策運営に対する懸念から、リスク回避のドル売りが再び強まる可能性は残されている。ただ、堅調な経済指標を背景に利上げペース加速への期待が再浮上する可能性もあることから、リスク回避のドル売り・円買いは拡大せず、ドルを買い戻す動きが強まる見通し。
米ホワイトハウスは24日、6月12日に予定されていた米朝首脳会談の中止を発表した。双方が牽制したことが結果的に裏目に出たとの見方があるが、中東で核開発を進めるイランと北朝鮮は再び接近し、地政学リスクの増大に発展するとの見方がある。その場合、朝鮮半島の非核化を期待したリスク選好的な円売りは大きく後退するとみられる。
通商面でトランプ政権は、鉄鋼・アルミ製品に続き、自動車の輸入制限に踏み切る方針。日本車メーカーには打撃となるが、米貿易収支改善への思惑が多少強まることから、リスク回避のドル売り・円買いが大きく広がる可能性は低いとみられる。また、1-3月期国内総生産(GDP)改定値や5月雇用統計など米金融政策に影響を与える主要経済指標が市場予想を上回った場合、年4回の追加利上げ実施への思惑が広がり、日米金利差の拡大を想定したドル買いが活発となる可能性がある。
【米・1-3月期国内総生産(GDP)改定値】(5月30日発表予定)
今月30日発表の1-3月期国内総生産(GDP)改定値は、速報値の前期比年率+2.3%と同水準になるとみられる。改定値が上方修正された場合、株高を通じてドル高に振れる可能性がある。
【米5月雇用統計】(6月1日発表予定)
6月1日発表の米5月雇用統計は、失業率3.9%、非農業部門雇用者数は前月比+19.0万人、平均時給は前年比+2.7%が市場コンセンサス。平均時給の伸びが市場予想を上回った場合、利上げ加速への期待がやや高まり、ドル買い材料となりそうだ。