全世界で1000万部を超える大ベストセラーとなっている『バビロンの大富豪』(ジョージ・S・クレイソン著)には、役所勤めの一市民からバビロン一のお金持ちとなったアルカドを中心に富を築く基本原則が描かれている。それらを現代流に読み解いた『大富豪が教える成功法則』の監修者であるファイナンシャル・プランナーの藤川太氏(家計の見直し相談センター・代表)は「アルカドと米国の著名な投資家、ウォーレン・バフェット氏には共通項が多い」と分析する。それは何か。藤川氏が解説する。
* * *
大富豪アルカドが説いた「財産を損失から守る堅実な投資」という観点からは、「分散投資」がセオリーといえます。ただし、それは投資対象についてであり、投資手法についてはむしろ分散ではなく、「集中」がいいとしています。それについて、アルカドは次のように表現しています。
〈黄金の扱いに長けていない未熟な者が自分の判断を過信してろくに知りもしない商売や事業に投資すると、往々にしてその判断が間違っていることを後で思い知らされる。その代償は言うまでもなく自分が蓄えた虎の子の財産からとなる〉(『大富豪が教える成功法則』より)
よくわからない投資手法にまで手を広げるよりも、得意分野に集中したほうが損失を避けられるということです。
株に詳しいなら株式投資、不動産に詳しいなら不動産投資に徹底的に集中したほうがリスクは低くなります。あるいは、もし自分の仕事が好きで、なおかつ成功もしている人なら、他社の株を買うよりも自分のビジネスに投資したほうが安全といえるでしょう。
もちろん、ビジネスや投資手法は時代の流れによってトレンドも移り変わりますから、投資対象は集中させず、複数に分散させてポートフォリオを組むことでリスクを分散させることが必要となります。