今や中国の経済規模は日本の倍を優に超えており、世界第2位の経済大国であるが、総合的な産業競争力といった点ではまだ発展途上にある。
アメリカ商務省工業安全局は4月16日、インテル、マイクロソフト、オラクルなどに対して、中興通訊(ZTE)への半導体などの製品販売を禁止した。同社は通信キャリア向けの通信設備や、スマホなどを製造販売する、中国を代表する通信機器メーカーである。次世代移動通信システム・5G技術の開発では世界の先頭グループを走る企業であるが、CPUなど中核部品ではアメリカの製品に依存しており、米中二国間の良好な関係なしには成り立たない事業構造となっている。
もちろん、アメリカも単独でハイテク製品を作っているわけではない。例えばスマホを例にとれば、CPUはアメリカのクアルコムが圧倒的であるが、カメラの構造部分では、モジュールは中国関連企業、チップはソニー、韓国のハイニックス、モーターは村田製作所、TDKなどが供給している。電池、指紋モジュール、スクリーンも同様に各国メーカーが部品を作っている。組み立てこそ中国、台湾企業が圧倒的に強いが、世界各国企業との協業で成り立つ事業である。問題は、CPUを代替するのは難しいが、組み立ては代替が可能であるという点である。わかり易く言えば、産業技術レベルは、アメリカ>日本、韓国、台湾>中国ということだ。
中国国内でも、中国製造業のレベルについて様々な意見があり、日本に関しても、優れた分析をしているものもある。簡単に紹介しておきたい。
製造業に関する付加価値ベースでみると、2014年における世界全体に占める中国の割合は24.4%でアメリカの17.3%、日本の7.1%を大きく超えているが、一人当たりの付加価値を比べると、日本、台湾、アメリカ、韓国、ドイツの順で高く、中国は日本、アメリカの3分の1~4分の1に過ぎない。
日本については、2016年にシャープが倒産状態となったり、2017年には、タカタが倒産、神戸製鋼や、三菱マテリアルの子会社が大規模なデータ改竄を行ったり、2018年には川崎重工が新幹線の部品について、欠陥製品を供給したりするなど、醜聞も絶えない。とはいえ、依然として様々な分野で日本の技術はアメリカを凌駕していると指摘している。