そもそも今回の制裁は、ZTEが輸出管理規制に違反、アメリカ製の通信機器をイランや北朝鮮に違法に輸出していたことが発端であるが、これについては、2017年3月に総額11億9000万ドルの罰金(8億9200万ドル、さらに違反があれば3億ドルの追加)を支払うことで同意している。このうち、8億9200万ドルについては2016年12月決算で費用処理が済んでいる。
アメリカ商務省は4月16日、アメリカ企業による輸出管理規制対象となる製品、技術、ソフトウエア輸出を7年間禁止すると突然発表したが、それは新たに違法な輸出が見つかったというわけではなく、幹部社員4人を解雇し、他の社員35人についても処分を行うという約束を、一部守らなかったことが原因である。政治的な意図を強く感じる処罰であり、また、その後の処罰解除である。
ZTEはスマホではトップ6には入っておらず、10位前後とみられる。しかし、華為は第2四半期には世界第2位のシェアとなる見込みの世界トップクラス企業である。アメリカ連邦通信委員会は4月17日、華為、ZTEを念頭に、国内の通信会社に対して安全保障上の懸念がある外国企業からの通信機器調達を禁じる方針を示している。アメリカは政治的な手法で中国企業のハイテク分野での“抜け駆け”を阻止しようとしている。
ただし、アメリカの意図は中国を打ち負かすことではなく、中国との共存共栄の確保ではないだろうか。「中国製造2025」に対するアメリカの反発も、すべての分野でトップになろうとする目標そのものにある。中国大手通信会社に対してハイテク製品の輸出を禁止した場合、クアルコム、インテル、アカシア・コミュニケーションズ(ACIA)などといった半導体、通信関連部品メーカーが大きな機会損失を被ることになる。しかし、両国企業が良好な棲み分けをすることができれば、ウィンウィンの発展を図ることができる。商売のことが頭から離れないトランプ大統領は、そうした米中企業の協力関係構築を目指しているのではなかろうか。