例えば平均的な収入の会社員男性が、子供がいるのに不幸にして亡くなってしまった場合、子供が18歳になるまで年間約140万円が支給されます。月額ざっと12万円です。
民間の保険では、ケガなどをせずに保険金を受け取らなかったら一定額のお祝い金や満期金をもらえる商品が人気ですが、年金制度も不幸にして障害状態になったり亡くなったりした時は生活保障となり、もし長生きすればお金を毎月受け取れるというように“民間商品に似た機能(しかもコストが安い)”を持っていると言えます。これを使わない手はありません。
「将来はもらえなくなる」ことはありうるか
では、年金は受給開始年齢が遅くなったり受給額が少なくなったり(またはゼロになったり)する可能性があるから「払い損」と考えるのは正しいのでしょうか。
確かに、このままでは受給開始年齢は後ろ倒しになるか、受給額が減少する可能性はあります。ですから、私がファイナンシャル・プランナーとして将来設計・老後の生活設計についてアドバイスする時は、「受給開始年齢は70歳(現在より5年遅くなる)」、受給額も「現行制度の8割」になることを想定してシミュレーションしています。
それよりも悪いシナリオとして、「年金制度が根底から破綻する」ことはあるのでしょうか。私はないと思っています。理由は2つあります。1つは、162兆円の年金積立金があること。もう1つは、年金制度が破綻すれば生活保護に頼る人数が急増し、結局国の負担が増える(税収が減り支出が増える)からです。
年金制度の破綻は、日本という国の破綻と同じだと思っています。だからこそ、「年金保険料を払わないで貯金する」という考え方は矛盾していると考えます。年金破綻=日本の破綻であれば、その時点で円資産である貯金も無価値になります。もし、本当に年金制度の破綻に対応したければ、円資産以外の外貨や現物(金など)に変える必要があります。