2019年3月卒業予定の大学生の就職活動が終盤戦を迎えている一方で、実質的には2020年3月卒業予定の大学生の就活が早くも始まっている。選考解禁を6月1日と定めた「採用選考に関する指針」が形骸化し、大学3年生の夏休みのインターンシップが実質的な就活のスタートとなっている。その後、会社説明会が開かれるが、その過程で学歴フィルターが仕組まれていることがあるという。『学歴フィルター』(小学館新書)を上梓した就職コンサルタント・福島直樹氏が解説する。
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ネットで判明して炎上したケースが少ないだけで、学歴フィルターを使っている企業は実に多い。私の取材をもとに、ある大手企業(非製造業)の有力子会社A社における学歴フィルター使用の実態を明らかにしたい。
A 社にとっては夏以降のインターンシップは重要な採用広報の場である。学生はインターンシップに参加したからといって、別ルートでの採用面接があるわけではなく、一般の志望者と同様の採用プロセスを経る。
その会社では会社説明会への参加が必須となっており、同時に手書きの簡単なエントリーシート(ES)を提出させる。会社説明会に参加しなければ面接に進むことができない。
会社説明会は複数回実施し合計5000人分の枠があり、プレエントリーで登録した学生に対して案内メールなどで参加を促す。インターンシップ参加者のみ早めに送信する。
ここで学歴フィルターが使われている。参加枠はあらかじめ大学群ごとに大まかに設定されているのだ。参加枠の比率は次のようになっている。
・東大、一橋、早慶上智グループ……20%
・GMARCHグループ……35%
・成蹊、成城、明学、獨協、國學院、武蔵グループ……25%
・その他中堅大学と、いわゆるFラン大学グループ……20%
所属している学生の人数からみれば、東大、一橋、早慶上智が明らかに恵まれ、もっとも多くの学生数がいる「その他中堅大学といわゆるFラン大学」にとっては厳しい数字であることがわかるだろう。
常にこの比率が厳守されるわけではない。複数回実施される会社説明会のうち、初期は上位大学の学生からの申し込みが多い。ただこの時期は、いわゆるFラン大学の学生でも業界志望度の高い学生が多い。
後半は徐々に中堅以下やFラン大学の学生が増えていく。説明会の定員が埋まらず8割程度がそれらの学生で占められることもある。事前に自宅で記入しておくべきESを、会場のトイレで隠れて書くような低レベルな学生が現れるのも後半の特徴だ。