投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が6月18日~6月22日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円はもみあいか。米朝首脳会談や米連邦公開市場委員会(FOMC)など重要イベントを消化し、米国株式や長期金利の動向を意識した相場展開となりそうだ。ただ、株安や長期金利の低下局面でも米金利見通しの引き上げを背景にドルの押し目買いが入る可能性がある。株高や長期金利の上昇局面ではドル買いが優勢となりそうだが、貿易戦争への懸念は消え去っていないことから、ドルが一段高となるような相場展開は期待できないとの声が聞かれている。
12-13日に開催されたFOMC会合で政策金利の引き上げが決定されたが、今年の利上げに関してあと2回(計4回)との見通しを示した。同時に、政策金利は目標としている水準に比較的早期に達するとした。そのため、来年以降は利上げペースが鈍化するとの観測が浮上しており、ドル買い・円売りが急速に拡大する可能性は低いとみられる。
一方で、欧州中央銀行(ECB)は14日の理事会で、市場の思惑通り資産買入れプログラムの買入れ終了を決めた。ただ、現行の低金利政策を少なくとも2019年夏まで据え置くとし、早期利上げ期待を背景にマネーはユーロに向かいつつあったが、ドル選好地合いに逆戻りする見通し。
反面、カナダで開かれた主要7カ国首脳会議(サミット)で米国と他の参加国は通商政策をめぐり対立が続いている。米国による鉄鋼・アルミ製品の輸入制限をきっかけとした貿易戦争は避けられないだろう。米国は中国に対する知的財産権侵害に対する関税も発動するとみられ、世界的な通商摩擦への懸念再燃で円買いが強まる可能性もあろう。
【米・5月建設許可件数】(19日発表予定)
19日発表の米5月住宅建設許可件数は135万戸と予想されており、前月実績(136.4万戸)をやや下回る見込み。ただ、全般的に上昇トレンドが継続しており、予想を大きく下回らなければドル売り材料にはならないとみられる。
【米・6月フィラデルフィア連銀景況調査】(21日発表予定)
21日時半発表の米月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は、前月の34.4から27.8程度に低下する見込み。ただ、景気の良し悪しの境目であるゼロを大きく上回っており、想定を大きく下回らなければ、ドル売り材料にはならないとみられる。